RI会長メッセージ
2003−04年度国際ロータリー会長
 ジョナサン B.マジィアベ
ジョナサン B.マジィアベ
親愛なる同僚ロータリアンの皆さん、
 今の私たちの世界では、幾百万という人々が、貧困のどん底生活をしているのです―彼等の胃袋は空っぽです。彼等の胸には絶望以外なにものもありません。世界の最も貪しい国々では、男も女も着るものが無くて文字通りポロをまとっています。子供達はハダカで走り回り、そのやせ衰えた身体は栄養失調の典型です。健康管理にも教育にも全く無縁ですから、病気と無知にさいなまれ、次の世代も、よりよい暮らしへの希望など全く持てずに育ってゆくのです。
これが世界中途上国のどこでも見られるありふれた不気味な筋書きです―こういうことは多くのロータリアンがよく知っています。多年にわたってロータリー・クラブや地区は、人々が食糧、衣料、住居に事欠く地域で発生する深刻な問題に取り組んで釆ました―清潔な水、学校、診療所等はもちろんのこととして……
 貧困にも色々違った瀕があります。私の祖国アフリカでは、貧乏神は悲惨な顛を見せています。比較的恵まれた国では、貧乏神はしばしば顔を隠していて、実際にそれが存在しても、無視されたり、存在自体が安易に否定されたりもします。しかし世界中殆ど何処の地域でも、そこは人々にとって深刻な何かを抱えている家宅なのです。私はロータリアンの皆様にお願いしたい……目を開いて周囲を見回し、住居、健康管理、食糧、その他生産的生活の基本に事欠く人々の問題に同情をよせ、実際的効果があがるように取り組んでくださいと。
 大部分のロータリアンは比較的快適に暮らせる幸運に恵まれていますが、今日の「地球村」では、戦争、飢饉、自然災害の影響がこの惑星上の至る所に止めどもなく押し寄せ、平和な世界への道をふさいでいます。かくも多くの世界に起こる騒動に火をつけ更に油をそそぐのは、貧困から生まれる絶望なのですから、いやしくも私達が平和という究極のゴールに到達しようとするなら、私たちロータリアンはまず希望を与えなければなりません。2003−04年度、私はロータリアンの皆さんに、真っ正面からこれに挑戦して貧困を減らすことを、第―番の目標とされるようお願いします。
この運動の重要戦略は女性に対する教育でなければなりません。途上国世界の大部分を通じて識字率は女性の方が男性よりはるかに低いのです。こういう教育資産の不均衡から、一般的に子供の教育に対する女性の責任が軽視されることになります。読み書きできる女性は、その技量を子供たちに伝え、そして次の世代がまた更に高い識字力を身につける様になる事は間違いないでしょう。
 私たちはまた、小口金融プロジェクトによって貧困と戦うことが出来ます。これは小規模の新規事業を立ち上げようとする場合―主として女性ですが、多くの場合通常の融資になじまぬ人に、小額金融の道をつけるものです。たとえUSlOOドルの少額でも、こうした駆け出しの素人企業家達は、貧困の悪循環を断ち切って家族を養うことが出来るようになります。小口金融が成功すればその成果として地域社会全体が、何もないハダカ暮らしから明るい未来へ向かって希望の持てるものに変わって行くのです。
 2003−04年度、国際ロータリーは、ロータリー百年祭の一環として双子クラブのプロジェクトに着手します。このプロジェクトは、貧困が私たちの世界に引き起こしている惨事を少なくしよう、ということで提携するクラブに絶好の機会を与えるものです。世界社会奉仕とロータリー財団の人道的補助金を通じて、私たちは苦しみをいやし、希望と安定を、平和への新しい機会をもたらすべく、海を越え国境を越えて仕事が出来るのです。
 もしロータリアンが貧困とそれによって生ずる数々の悪影響を緩和することに成果を上げようとするなら、私たちの組織を強化し会員増強を推し進めなければなりません。私は2003−04年度において、根元的な会員増強という焦点をはずしてはならぬと確信しています。また新しい会員を引き入れても私たちが何もせず、彼等を活動的にし有意義なプロジェクトに巻き込む事を怠っていては意味がありません。私たちは彼等をクラブに馴染ませ、彼等が親密で頼りになるロータリー家族の一員であると感ずるようにするべきです。
 更にまた私たちは、資格の有る男女とロータリーを分かち合う責任をないがしろにしてはいけません。この点に関して特に私は、クラブがもっと女性会員を増やす様に奨励したいと思います。事業や専門職に従事する女性指導者の数は急速に増え続けていますが、ロータリーにおいては悲しむべきはど少ない数です―女性は全会員数の10%にも満たないのです。そして20以上の国のクラブではまだ女性会員が一人も居りません。1989年以降ロータリーに加入した女性たちは会員数の維持、下振れ防止の力となり、クラブの奉仕活動を大いに強化し、そして国際ロータリーに対してもまた同様目覚ましい貢献をしました。この最初の10年間に女性会員が果たした有益な役割を認めて、2001年の規定審議会とRI理事会は、両性クラブの推進を奨励する事にしました。実際に国際ロータリー細則には、いかなるクラブも性別によって会員を制限してはならぬと具体的に明記されています。今や適格な女性を積極的に探し求めて会員に迎え入れることは、クラブ・レベルにおける会員の義務です。
 2003−04年度、私たちを奉仕の道に導くために、私は全ロータリアンに手を貸そうと呼びかけています。これは単純なテーマではありますが、しかしロータリー奉仕の真髄を雄弁に語るテーマだと確信します。ロータリアンとして私たちは、地域社会やまた世界に対して常日頃、手を貸しています。私たちは私たちのクラブ会員や、また海外にあってその地域社会の問題に取り組み援助を求めている同僚ロータリアンに手を貸しています。この単純な仕草が時として一人の人間の人生を変える要件のすべてともなるのです。またそれとは違って、一本の手が多数の手となることだってあります。ロータリアンが互いに協力し合ってポリオを根絶させたり、識字力を向上させたり、低価格住居を供給したり、また紛争を解決し、数多くの人々の苦しみを和らげたり……と言うことになるのがそれです。どこにあっても必要とあれば助けてあげる、というのが私たちロータリアンの本性です。そこで2003−04年度、私はロータリアンの皆さんに、手を貸そうという機会を更に多く、自ら進んで探し出すようお願いします。
 さあ皆さん、助けてあげねばならぬ私たちの兄弟姉妹に、進んで私たちの手を差し伸べて、2003−04年度のロータリー年度を始めましょう。相共に働き続けても、ロータリー援助の手に、これでおしまいということはあり得ません。
 
ジョナサン B.マジィアベ
国際ロータリー 2003-04年度会長